エルダー歓迎、応援、活躍中ってなに?エルダーの年齢と意味をひも解く
最近、派遣求人サイトなどで、「エルダー」という言葉がよく使われています。応募する側には、未だによく浸透していないようで、「意味が分かりません」とか「何歳からですか?」といったQ&Aを見かけます。
また、会社の社員教育などでは「エルダー制度」というものがかなり前からあって、この場合のエルダーは求人サイトのエルダーとは意味が違います。
そこで今回は、この分かっているようで分かっていない「エルダー」を掘り下げてみました。
エルダーの年齢は求人サイトによって違う
求人サイトで使われている「エルダー」を具体的に見てみましょう(2019年6月現在)。例えば「リクナビ派遣」では「エルダー(40歳以上)」という定義があって、「エルダー応援」というタグが付いている求人は、40歳以上歓迎という意味になります。その上は「シニア応援」(60以上)なので、エルダーは40~59歳ですね。
しかし「はたらこねっと」では、「ミドル(40~)活躍中」「エルダー(50~)活躍中」「シニア(60~)歓迎」といったタグ付けになっていて、エルダーは50代です。
また、「エン派遣」では年齢の記載なしで「エルダー歓迎」「エルダー応援」という求人や「ミドル・シニア活躍中」というタグ付けをしています。「テンプスタッフ」はタグ付けなし。
つまりエルダーは40歳代から50歳代になるけど、共通の認識はありません。
2019年4月1日から始まったパソナグループの「エルダーシャイン」は、65歳からの新入社員ということで、自社の契約社員として新規雇用する新しい試みです。説明の中では「定年退職後も働く意欲のあるシニア人材の方を対象に」とありますので、ちょっと変わった「エルダー」の使い方ですが、実際に入社したのは53歳~70歳の方々だそうです。
65歳からの新入社員『エルダーシャイン入社式』生涯現役を目指すシニア人材80名が入社 | パソナグループニュース
結局みんな雰囲気で適当に使っているので、あまりシビアに考えず、「中高年以上も受け入れてくれるのね」と思えば問題ありません。考えすぎて自分の気持ちにブレーキをかけてしまうのが、一番もったいないですよ。
以前からあった人材育成としての「エルダー制度」
もともと英語のelderは、oldの比較級であるolderと同じ意味です。ですから絶対的な世代や年代を表すものではありません。相対的に比較したときに、年上の方がエルダーです。
会社の新人教育などで使われる「エルダー制度」は、特定の先輩社員がついて指導する、面倒を見るという制度で、その先輩社員が「エルダー」になります。日本では年代を表す「エルダー」よりもこちらの使い方のほうが以前からある。
ちなみに「メンター制度」も同じような制度ですが、「メンター」の方が言葉としてはより密接な関係をイメージしますね。
言葉からイメージする年齢層のまとめ
最後に、高い方の世代を表す言葉からイメージする年齢層を図にしてみました。
別の記事で「高齢者」「シルバー」「シニア」については詳しく書いていますが、次第に若々しくなっていく時代の流れに伴ってイメージが変わってしまうので、新しいカタカナ英語が現れます。以前は「シルバー人材」ということもありましたが、今はほとんど使われません。
「エルダー」がいつから使われ始めたかはウォッチしていないので分かりませんが、「ミドル」と「シニア」をオーバーラップするような形で、マーケティング用語から普及しているんです。一般的に「エルダー層」は50歳以上をターゲットにしていますね。
私は60歳ですから、「エルダー」で「シニア」です。気にしないので、どっちでもいいですけど。