10年後は70歳まで働くことが当たり前になる?

10年後は70歳まで働くことが当たり前になる?

人は好きなことを仕事にしているなら、辛いとは思わないし、ずっと働いていたいとも思えます。あるいは、人の役に立っている、社会貢献していると感じられる場合も、同じかもしれません。

しかし現実は、そんな人は少なくて、生活のため、お金のために今の仕事を続けていることが多いでしょう。

そういう満足していない状態がいつまで続くかという問題なんですが、世の中が、70歳まで働く環境になってきています。そうするとかなり長いので、いかに早く好きな仕事にたどり着けるかは重要ですね。

この記事を読んで、考えてみてください。

高齢になっても働きたい人が増えていますが・・・

まだ働きたい

まず、多くの人が、お金のために定年後も働くということを、データで示します。

公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団が2018年2月に行った、「50代・60代の働き方に関する調査」(n=6,250)によると、50代後半正社員の男性のうち60.8%(女性は56.3%)が「定年後も働きたいし、働くつもり」と回答しています。「働きたいが、働けない状況」を合わせると、なんと80%に達します。

50代・60代の働き方に関する調査

(出典)ダイヤ高齢社会研究財団

働きたい人の理由は、「日々の生計維持のため」が70%以上で、ほかの理由を大きく上回っていますが、これは、60歳定年の会社が多いにも関わらず、年金受給は65歳からということから、少なくとも65歳までは働く必要があるという状況を、反映していると思います。

実際、66~69歳で働いている人の理由になると、「生活のハリ・生きがいを持つため」が一番になります。

定年後も働きたい理由

(出典)ダイヤ高齢社会研究財団

働く年齢が延びている背景として、健康寿命が延びていることがあるのは確かですが、貯蓄が十分でない上に年金だけでは不足するという不安が大きいことを表しています。

アンケート調査|ダイヤ高齢社会研究財団

国の高齢者に対する方針と今後の予測

高齢者就業

国の政策はどうなっているかと言うと、現在は「高年齢者雇用安定法」の<高年齢者雇用確保措置>によって、ほぼすべての企業で希望する人全員が、下記のいずれかで65歳まで働けるようになっています。

①65歳定年
②65歳まで定年後再雇用
③定年制の廃止

これに加えて、2021年4月1日施行の法改正では、以下の内容が新設されました。

<高年齢者就業確保措置>として、次の①~⑤のいずれかの措置を講ずることを努力義務とする。

①70歳までの定年引上げ
②70歳までの継続雇用制度の導入
③定年廃止

①~③は雇用制度の拡大ですが、創業支援等措置(雇用以外の措置)として、以下の④⑤でもよいとされています。

※ただし過半数組合・過半数代表者の同意を得て導入

④70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度の導入

それまでの「義務」と違って「努力義務」なので、実際に対応している企業は、まだ少ないのが実情ですが、70歳まで働きやすくなることは間違いないでしょう。

国も、こういった措置を講ずる企業に対する助成金措置や、職場環境構築の支援などを行います。また、国のその他の施策としては、以下の取組もあります。

  • ハローワークの生涯現役支援窓口や産業雇用安定センターによるマッチング機能
  • シルバー人材センターの就業機会の開拓・マッチング機能
  • 生涯現役促進地域連携事業による地方公共団体を中心とした協議会による取組

高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~|厚生労働省

国はなぜこんなに高年齢者の雇用や就業機会の確保を促進しているかというと、一言で言えば少子高齢化対策です。

労働力の確保といえば聞こえがいいですが、特に公的年金財政が危なくなってきているので、長く働かせて、なるべく年金を払いたくないのです。

そのうち70歳まで働ける環境が整ったら、公的年金の受給開始を、現在の65歳から70歳まで、段階的に引き上げたいという考えが見え隠れします。

これからどう考えて行動するか

これからの仕事

働く意欲がある高齢者が増えているとはいえ、アンケート調査で分かるように、65歳までは「日々の生活維持のため」が一番です。それが70歳まで必要になったらどうでしょうか?

現行の公的年金制度では、70歳まで受給開始を繰り下げると、42%増額になるというメリットがあって、それが70歳まで働くモチベーションにもなっています。(75歳まで繰り下げると84%増額)

しかし、現在50代前半かそれより若い世代は、70歳までどう生きるかを、根本的に考え直したほうがよいかもしれません。

満足している仕事が続けられるなら、70歳まででもいいかもしれませんが、何かに不満を感じていたら、転職・再就職・独立といったことを、早く考える必要がでてくるのではないでしょうか?

高齢になるほど転職や再就職が難しくなります。定年後再雇用では、役職を解かれて給与も下がるのが当たり前です。それでもやりがいのある仕事やモチベーションが保てるか、今の会社で働きたいかを、視野を広げて考えて、行動するなら早いほうがいいです。

それと、いま定年の時期を迎えている方にも、視野を広げて、雇用される働き方以外の、自分の可能性を考えてほしいと思います。「起業」と大げさに考えなくても、個人でお金を稼ぐ方法がたくさんある、良い時代になっています。